香港法人の偉い活用の仕方。高度な金融システムと事業者に有利な税制度を持ち、レッセフェール(自由放任)政策を敷く香港に会社を設立するメリットについてわかりやすく解説しております。
これまでに挙げたように香港に会社を持つことには様々なメリットがあり、また幾多の問題を解決することができます。しかし、これは元宗主国であるイギリスの影響を強く受けながら、一方で現在は中国の特別行政地区として極めて特異な環境の中にある香港が持つアンバランスさを象徴するものとも言えるでしょう。
ここに挙げた香港法人の持つ様々メリットは政策の転換でいとも簡単に変わる可能性があることを覚えておかなくてはなりません。
以前は香港に会社を設立する大きなメリットであったが、現在は失われたものに委託加工工場(来料加工工場)を持つための香港法人設立と言うものがありました。
以前、日本人が香港に会社を設立する動機として中国に委託加工工場(来料加工工場)を設立するために利用するということがありました。
これはその昔、香港の製造業者が豊富で安価な労働力を利用するために広東省珠江デルタ地帯に進出しましたが、その際に香港の会社が「村」や「鎮」という行政組織や国営企業などが管理している土地、建物、人材を使用して製造活動をおこなう委託加工工場(来料加工工場)と言う形態を取ることができました。
つまり、香港の会社は中国に子会社を設立することなく、香港法人そのものが中国で登記をできたのです。
この委託加工工場と言う形式を使えば、工場の設備や在庫、現金などの資産はあくまでも香港会社のバランスシート内の資産として扱われ、製造原価を構成するあらゆる工場経費も香港会社の財務諸表にすべて組み込むことが可能でした。
現在ではこの委託加工工場の形態で新たに製造業を営むことはできなくなっており、一時期隆盛を極めた製造業としての香港の会社設立は非常に少なくなっております。